マルムラード [marmelade]
コンフィチュール(ジャム)が、まるごと、あるいは切った果物で作るのに対し、ジュレ(ゼリー)はある種の果物の果汁で作り、マルムラードは裏ごししたピュレで作ります。果物が潰されている点がジャムと異なります。Marmeladaは「甘いマルメロ(quince)の実のペースト」を意味するポルトガル語でした。
マルムラードに似ている英語のママレードはライムやレモンの柑橘類のジャムを指します。ママレードもポルトガル語のmarmeladeからきていますが、そのいきさつは複雑です。15世紀marmeladeは、薬として、果物の砂糖漬けとして英国に輸入されており、透明なタイプはフランスではコティナク(cotignac)、英国ではquiddonyとして知られていました。
英国には、中世、硬い砂糖漬けのレモンやビター・オレンジも輸入されており、これがポルトガルの生産品との類似からmarmaladeと呼ばれるようになりました。ダムソン(西洋スモモの1種)やリンゴ、洋梨、桃のmarmaladeはスライスして指でつまんで食べるもので、現在のママレードとは全く似ていません。
19世紀には料理本にマルメロのmarmaladeも紹介されていますが、marmaladeは今よりずっと広い意味で使われていました。いずれにしても英国ではママレードはジャムより高級品のイメージがあり、20世紀の伝統的な英国の朝食にトーストとオレンジ・ママレードは欠かせませんでした。
参考文献:”TRAITÉ DE PÂTISSERIE MODERNE” E.DARENNE/E.DUVAL著
「ラルース料理百科事典」(三洋出版貿易株式会社)
Alan Davidson “THE OXFORD COMPANION TO FOOD”