ピエス・モンテ [pièces montées]
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2003年第8回
Coupe du Monde
de la Pâtisserie
日本国内選考会第1位作品
製作/野島 茂氏
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Dessin de
pièces montées
より
piècesとは部分とか小片のこと。部分や小片をmontéesする 、つまり組み立てたものがピエス・モンテです。
現在、ピエス・モンテというとパスティヤージュ(粉砂糖、卵白、ゼラチンあるいはトラガント・ゴムを練って作ったもの)にあめ細工を施した抽象的なデザインの大型の作品を連想します。
『ラルース料理百科事典』によれば昔の料理のピエス・モンテは食べられないものを濫用した装飾品で、巨大な建築物風に作られていたのだそうです。パティスリーの分野でも19世紀以来、装飾用の菓子が盛んに作られました。
ピエス・モンテは公式の食事や宴会のメインですから、その会の目的に沿ったテーマで形作られます。竪琴、ハーブ、コルヌ・ダボンダンスと呼ばれる豊穣の角、籠一杯に盛られた収穫物、白鳥、地球儀や滝、建築物では寺院、野外音楽堂などがしばしば取り上げられ、これらをリアルに造形し、高く積み上げて飾り立てます。
素材はパスティヤージュやヌガティーヌ(アーモンドとカラメル化させた砂糖で作る)、チョコレート、シューなどを用います。私たちにおなじみのピエス・モンテといえばウエディング・ケーキやクロカンブッシュでしょう。
参考文献:「名前が語るお菓子の歴史」ニナ・バルビエ/エマニュエル・ペレ著 北代美和子訳(白水社)