第33回 「日本洋菓子史」編纂へ

第33回 「日本洋菓子史」編纂へ

「日本洋菓子史」は第8編第7章以降で機関誌GATEAUXの記事と会の活動を詳細に紹介しています。

1958年(昭和33年)には、渋谷の「ふるさと」で“洋菓子の草分け時代を語る座談会”が開かれ、この模様は同年4月号から7月号のGTEAUXに連載されました。出席者は(写真前列右より宮台喜作、池田文痴菴、村上二郎、門林彌太郎、桜井六兵衛、門倉國輝、中列左より久本晋平、細内善次郎、橋倉弘安、高須八蔵、林 守通、後列左から木元重徳、田中邦彦、大谷長吉、石黒 茂の各氏)明治後期から大正・昭和と日本の洋菓子の黎明期から当時までを現場でつぶさに見てきた業界の重鎮の方々です。

1896年(明治29年)、14歳で銀座凮月堂(南鍋町)に入店して以来、76歳(当時)まで日本の洋菓子の歴史と共に歩んできた門林彌太郎氏は明治時代の材料事情の1例を次のように語っています。「バターにしても、むこうからビヤダルに入った塩漬けのタルバター、ロールバターでそれより無かったのです。そのバターをなめてみますと、とても塩が辛くてそのままじゃ使えないのでそれを器にとって溶かします。すると塩は沈んで上のバターの塩気が少しはなくなる」

この時の座談会を契機に「洋菓子界先覚の努力苦労を偲び、その功績を明らかにし、真実に立脚して正しい洋菓子史を記録。後進の励みとなし、将来の進路指針とすべきもの――」、「日本洋菓子史」編纂の話しが浮上しました。世の中全体にゆとりができ、越し方を振り返り、将来を考えるゆとりが生まれていました。

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