ムラング [meringue]
「ラルース料理百科事典」によると、卵白と砂糖で作った小さな菓子、ムラングはメリニンゲン(Mehrinyghen)のスイス人のお菓子屋さんガスパリーニ(Gasparini)が、1720年に発明したそうです。実際にはこれ以前にも製菓に卵白は使われていましたので厳密な意味で発明といえるか疑問ですが。このメリニンゲンという小さな町がどこにあったのか特定されていません。ドイツのザックス=コブール=ゴーダ公国(Saxe-Coubourg-Gotha)、あるいはスイスのマイリンゲンと各説あります。
最初にフランスで作られたムラングは、ロレーヌ地方のナンシーでポーランドのスタニスラス王(1677-1766)に出されたといいます。王の娘、マリー・レクチンスカ(1703-1768)はフランスのルイ15世の妃になった女性で、彼女もムラングが大好きでした。
さらにルイ16世の妃、マリー・アントワネット(1755-1793)もムラングに目がなく、彼女はトリアノン宮殿で自らムラングを作ったといいます。
まだ絞り袋が発明されていなかった19世紀の初めまで、ムラングはスプーンですくって作っていました。
ムラングには (1) ムラング・オルディネール、(2) シロップを注いで作るムラング・イタリエンヌ、(3) 湯煎にかけて温めて作るムラング・シュール・ル・フーがあります。この他、ダクワーズやジャポネ、パータ・シュクセ、パータ・プログレもムラングの1種です。
参考文献:「ラルース料理百科事典」(三洋出版貿易株式会社)