ブーダン

ブーダン [boudin]

「ブーダン」 製作/岩瀬 隆氏

「ブーダン」 製作/岩瀬 隆氏

12月25日、クリスマスはキリスト誕生の日。今定着しているこの祝日がキリストの誕生日であるとは、実は聖書にも伝えられていません。4世紀まで、キリスト誕生の日は一定していなかったようで、東方(ギルシャ)教会では永いこと1月6日に生誕の祝いをしていました。4世紀中ごろ、西方(ローマ)教会のローマ法王の聖ユリウス1世が25日を降誕の祝日と定め、5世紀に入ると東方教会にもこの祝日が定着していきました。

この日は古来、異教の諸民族の間では、太陽の蘇生を祝う冬至の祭りの日でした。この民間信仰がキリストの誕生と結びつき、春に向かう希望と喜びの日として広まっていったのです。

24日、イヴの夜、教会では深夜・夜明け・午前と3回ミサを行います。深夜のミサは特に重要で、ミサの後、人々は予約していたレストランに行ったり、家に帰ってレヴェイヨン(réveillon)と呼ぶ伝統的な夜食を摂ります。テーブルにはトリュフを詰めた七面鳥、栗を詰めたガチョウ、フォア・グラ、牡蠣が運ばれます。この時、儀式としての象徴的な意味を担って出てくる特別な料理が黒や白のブーダン、一種のソーセージです。黒いブーダンには豚の血が必ず入り、香辛料、レバー、卵を材料とします。一方、白いブーダンには血は入れず、子牛、豚肉を挽いて、生クリーム、バターで作ります。この腸詰は沸騰した湯に入れて火を通します。

Boudinは腸詰、ソーセージですが、pouding(プーダン)と似た響きがあります。実際、2つの言葉は同じとする説もあり、ブーダンをプディングの1種と分類することもあります。

参考文献:「ラルース料理百科事典」(三洋出版貿易株式会社)
「朝日百科」世界の食べもの:フランス 7 ノルマンディー
フランス語の散歩道 9 樫山文男(ガトー1981年12月号)

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