サント・ノーレ [saint-honoré]
サント・ノーレ、聖オノレはお菓子屋さんとパン屋さんの守護神と考えられています。彼は660年頃のアミアン(ピカルディー地方ソンム県)の司教で、5月16日にその祭りが行われるのですが、彼の名前がどうしてこのお菓子に付けられたのか、首を傾げたくなると「ラルース料理百科事典」には記されています。一説によると、ある日ミサを行っていた聖オノレが、神の手からパンを授かったという伝説からきているそうです。
サント・ノーレには本来、クレーム・パティシエールとムラングを合わせたクレーム・シブストを詰めていました。シブストとはパリのサント・ノーレ通りにお店のあったお菓子職人シブストからきており、彼が1846年、このクレーム作ったといいます。サント・ノーレはシブストの店のオギュスト・ジュリアンが1863年に創作したのではと思われています。もともとはブリオッシュの生地でしたが、「ラルース料理百科事典」ではパータ・フォンセ(弾力がつかないように捏ねたパイ生地)のレシピを紹介しています。
写真のミッシェル・フサール氏のサント・ノーレは伝統に忠実、パート・フイユテの生地を使い、クレームはクレーム・サント・ノーレ・シブストを絞っています。
(参考文献:「ラルース料理百科事典」(三洋出版貿易株式会社)
「名前が語るお菓子の歴史」ニナ・バルビエ/エマニュエル・ペレ著 北代美和子訳(白水社)
「菓名あれこれ」樫山文男(ガトー誌1980年8月号))