クレーム・シャンティイ

クレーム・シャンティイ [crème chantilly]

シャンティイの城。ドームの上に高くそびえる尖塔がクレーム・シャンティイの形状を思わせる。 写真提供/森下令治氏[東京製菓学校]

シャンティイの城。ドームの上に高くそびえる尖塔がクレーム・シャンティイの形状を思わせる。
写真提供/森下令治氏[東京製菓学校]

泡立てたクリーム。クレーム・フエッテ(crème fouettée)ともいいます。泡立てたクリームをクレーム・シャンティイと呼ぶようになったのはルイ14世(1638-1715)の頃のこと。

ヴォー・ル・ヴィコント城にヴァテルという「メートル・ドテル」がいました。「メートル・ドテル」とは給仕長のことですが、かつては王侯貴族の屋敷の司厨長や執事長であり、家事全般を取り仕切っていました。ある夜、城主はルイ14世を招いて華麗な宴を催すことにしました。ヴァテルはルイ14世を驚かせようと、あれこれ思いを巡らせ、新しい作品を考案しました。クリームに砂糖を入れて泡立て、ムース状にしたのです。これこそ後にクレーム・シャンティイと呼ばれるようになった泡立てたクリームですが、この時、まだ名前は付いていませんでした。しかも残念なことにこの宴は中止になってしまったようです。

後日、ヴァテルはパリの北50Kmのところにあるシャンティイの城に転職しました。シャンティイの城主のコンデ公がヴァテルのクリームの噂を聞きつけ、彼をスカウトしたようです。ヴァテルはルイ14世を招く宴席でこのクリームを披露しました。美食家のルイ14世も初めて食べるこの泡立てたクリームに驚嘆したに違いありません。

泡立てたクリームをクレーム・シャンティイと呼ぶようになったのにはこうしたいきさつがあったと伝えられています。

参考文献:「食の大地フランス」宇田川悟著(柴田書店)1990年発行

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