ウエファーとワッフル

ウエファーとワッフル [Wafer & Waffle]

1800~1900年頃のHost Baking iron。教会でミサの際、信徒に分け与えるホスチアを焼く。ホスチアは小麦粉を薄く焼いて作る。IHSはイエス・キリストの省略形、イエズス会の紋章でもある。エーデルワイス・ミュージアム所蔵品

1800~1900年頃のHost Baking iron。教会でミサの際、信徒に分け与えるホスチアを焼く。ホスチアは小麦粉を薄く焼いて作る。IHSはイエス・キリストの省略形、イエズス会の紋章でもある。エーデルワイス・ミュージアム所蔵品

Wafer & Waffleは共に、オランダのフランドル語のwafelとwaferから派生しており、フランス語のgaufreゴーフルに通じます。それらは聖体拝領の時のキリスト教徒のミサのパンに由来します。オランダの歴史家、Janny de Moor(1994)は次のように説明しています。“早期のカソリック教会では発酵していないパンを使っていた。宣教師たちは焼き器を携えてヨーロッパの異教の荒野を歩き回り、自ら焼いた。2枚の金属の間に生地を流し、手を火傷しないように2本の長い柄が付いていて、型には模様が刻まれていた。模様は表面積を増して生地が早く焼け、ウエファーに装飾を施すことにもなる。”実際、6、7世紀からの型がカルダゴで発見されているといいます。

13世紀まで普通の人はこれらを作ることが許されていませんでした。ウエファーは宗教、布教活動の初期に大きな意味をもっていたのです。型には入念に家紋や宗教的なシンボル、肖像や景色などが彫られています。プレートの多くは四角形ですが、丸いプレートもあります。

ウエファーは宗教と離れてドイツ人などにより、熱心に作り続けられました。一般に広まったウエファーは、まだ温かい軟らかいうちにロール状に巻いたりしてゴーフルの原形、※ウーブリoubliesとなりました。1270年にはウブレイユールのギルドがパリで創設されています。(※パティスリーpatisserie参照)

ウエファーはしばしばお祝い事に用いられ、祝祭日に焼かれます。今ではウエファーでアイスクリームをサンドしたり、アイスクリームに添えたりして世界中で愛されています。

薄くカリカリしたウエファーに対し、発酵生地のワッフルは個性的な蜂の巣模様の趣向が凝らされています。ウエファーとの関連は前述の通りです。オランダとベルギーはヨーロッパの中でも最もワッフルが食べられ続けている地域ですが、北アメリカではワッフルはもっと重要になりました。”1620年、英国南西部の港町プリマスからメイフラワー号で米国に渡った英国のピルグリム・ファザーズ(英国清教徒団)はワッフルを知っていました。というのは彼らは出航前、しばらく、オランダで過ごしていたのです。”ピルグリム・ファザーズがもたらしたワッフルは18世紀以降、ワッフル・パーティーが開かれるほど一般的になりました。

20世紀初め、ベルジアン・ワッフルを、薄く、蜂の巣模様に焼く機器が現れ、バターを多く使えるようになりました。メープル・シロップをかけたり、泡立てた生クリームを添えたり、キドニー・シチューにワッフルはボルティモアではお馴染みのメニューです。米国ではワッフルは今や重要な朝食のメニューです。英国人はワッフルに馴染みがありませんでしたが、1950年代、電気のワッフル焼き器が大量生産されると、アメリカ国内の熱狂に倣うように英国でも流行りだしました。

日本で見かける楕円形の生地にジャムやカスタード・クリームを挟んだワッフルは、日本独自のタイプで、明治の中頃から販売されています。

参考文献:Alan Davidson著「THE OXFORD COMPANION TO FOOD」OXFORD UNIVERSITY PRESS
Albert R. DANIEL著「THE BAKERS’ DICTIONARY」APPLIED SCIENCE PUBLISHERS
http://www.coquinaria.nl/english/recipes/05.4histrecept.htm

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