「日本洋菓子史」にしばしば登場する古老の1人、橋倉弘安氏は日本郵船のベーカーとして世界各地を廻っていました。業界視察のため欧米に派遣された1928年(昭和3年)の8月、ロンドンで行われた展覧会に、砂糖で作った大作を出品しました。これが特別金賞牌および金杯を獲得、1928年(昭和3年)12月1日発行のザ・イラストレイテッド・ロンドン・ニューズで紹介されました。
記事は「日本郵船のチーフ・ベーカー、倉橋弘安が『砂糖と食糧展覧会』に作品を出品し、優秀作品として万丈の気を吐いた」というものです。倉橋氏は奈良、春日神社の風景をお菓子で再現しました。かすかに読める記事から、左の建造物も砂糖、羽を付けた少女はバターらしいことが判ります。いずれも写実的な作風の大作です。