クレーム・ブリュレ [Crème brûlée]
1990年代の初め以来、ポピュラーなデザート、クレーム・ブリュレは洋菓子店に欠かせないアイテムになりました。冷たく、クリーミーなカスタードに、カリカリした焼いた砂糖の熱さのコントラストが味覚を刺激します。
クレーム・ブリュレが初めてレシピに登場したのは17世紀です。発祥はフランスと考えがちですが、英国あるいはスペイン(Crema Catalana)と諸説あり、はっきりしていません。
1691年にフランス人のFrançois Massialotが著した“Le Cuisinier royal et bourgeois”にシナモンの香りのするオレンジ風味とライム風味のクレーム・ブリュレが紹介されています。彼は宴が催される都度招かれる料理人で、特に誰かに雇用されていたのではないだろうと思われています。ルイ14世の弟であるオルレアンの公爵、フィリップ公とその夫人や、何人かの公・侯爵のために料理をしていました。彼の能力をもってすれば宴はいずれも成功を収め、ゲストは大いに満足したことでしょう。彼の著作は18世紀半ばまで何版も重ね、そのレシピは後世に影響を与えました。
英国ではクレーム・ブリュレはバーント・クリームの名で、17世紀以来ポピュラーなデザートでした。ケンブリッジ大学のトリニティ・カレッジではケンブリッジ・バーント・クリームとか単にトリニティ・クリームの名で提供されます。トリニティ・カレッジのバーント・クリームには大学の公式の紋章が焼印されているのだそうです。
参考資料:http://www.coquinaria.nl/english/recipes/05.2histrecept.htm/An A to Z of Food & Drink, John Ayto [Oxford University Press:Oxford] 2003 (p. 96)