ギモーヴ [guimauve]
お菓子のギモーヴ、マシュマロは、植物の名前でもあります。marsh、湿った土地に群生するmallow、アオイ、ウスベニタチアオイ(薄紅立葵)です。夏、人の背丈以上にぐんぐん伸びて白やピンク、赤い花を咲かせるごく一般的に目にする植物です。Althaea属の学名はギリシャ語で癒しを意味し、日本には薬用として渡来しました。
古代ギリシャのテオフラストは咳止めのコーディアル(甘味と香料を加えたアルコール性の飲料、リキュール)としてマシュマロの根を甘いワインに浸したと記録しています。甘みのあるマシュマロの根は粘液を多く含み、水に浸しておくとゼリー状になります。これがマシュマロのオリジナルな成分として有名なものです。
お菓子のマシュマロはフランスで19世紀半ばに開発されました。卵白や砂糖を加えて軽く食べ易くした柔らかい菱形の薬用食品で、咳を止め、喉の痛みを和らげる効果がありました。人参の形をした乾いた根は、赤ちゃんの伝統的な自然なおしゃぶり“ギモーヴのおしゃぶり”として知られています。
ラルース料理百科事典でコンフィズリーのギモーヴは“別にこの植物を使っているわけではない”と言っているように、現在作られているお菓子のマシュマロには植物の成分は含まれていません。
参考:Beauty Rituals International glossary/Food Timeline:history notes-candy