カリソン

カリソン [calissons]

カリソン [calissons]

このマジパンのようなお菓子はエクス・アン・プロヴァンスのスペシャリティです。ホームメイドのお菓子というより、多くは工業的に生産されており、祝祭日の晩餐に欠かせません。エクスのカリソン誕生に関してはいろいろな説があります。その1つが、カリソンが現在のような形で作られるようになったのは、1473年のレネ王の再婚の宴の席だというものです。王妃ジャンヌに密かに夢中だったコックが彼女のために創造したというのですが‥。

16世紀、プロヴァンス地方にアーモンドが紹介され、アーモンドの生産が拡大するにつれてエクスはその交易地として発展しました。19世紀になると初めてのカリソンの工場が登場し、20世紀の初頭までエクスは世界のアーモンド貿易の中心地でした。エクスには約20の工場があり、今日、エクスのカリソン製造組合を組織しています。

カリソンの歴史をひもとけば、1629年、エクスの住民の一部を襲った恐ろしいペストの流行に触れないわけにいきません。1630年1月、ペストの沈静を願った陪席判事のMartellyは、主だった市民を率いてミサに出席し、エクスの守護聖人に捧げる儀式を毎年行うことを誓いました。

革命まで、Martellyの誓いを忘れないために9月1日には市のベルを鳴らしていました。ミサでは大司教によって祝福されたカリソンが、賛美歌が歌われる中、会衆に配られました。Martellyの誓いの伝説は数世紀にわたって守られ続けたのです。

参考:Office de Tourisme-Aix en Provence/「名前が語るお菓子の歴史」
ニナ・バルビエ&エマニュエル・ペレ著 北代美和子訳(白水社)

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