カヌレ・ド・ボルドー

カヌレ・ド・ボルドー [Cannelé de Bordeaux]

ドンク青山店

ドンク青山店

1990年代の初め、カヌレは日本のどこのお店でも見かけました。もともとはフランス南西部ボルドー地方の伝統的なお菓子です。カヌレの歴史は謎に包まれています。

ガスコーニュの“canelat”からきた名前だろうとする説があります。当初の“canela”は、停泊する交易船(ボルドーは交易の盛んな町でした)の船底に飛び散った粉を集めて焼いた小さなお菓子で、これを貧しい人々に配っていたといいます。

16世紀、修道院の尼僧姉妹が棒状に作ったお菓子がその始まりだろうとする説はよく知られています。1789年のフランス革命で、特権階級だった聖職者は迫害を受け、カヌレのレシピの秘密もこの影響で失われてしまいました。もっともこれは伝説の域を出ず、教団の歴史にこの美食の記録を見出すことはできません。

この頃からレシピに変化が生じ、ラムとヴァニラが加えられて形も現在のような溝の入った型が用いられるようになりました。ただ、中産階級の食卓からカヌレは姿を消し、すっかり見捨てられたお菓子でした。

一方で、本当のところはリムーザン地方のスペシャリテ、canoleに近く、これが17世紀にボルドーにもたらされたとする説もあります。かなりの量が消費され、このお菓子だけを作る同業組合もあったのだそうです。

20世紀の初めになると、カヌレはボルドーの郷土菓子として認識され、以来今日までボルドー市のシンボルとなっています。“canelé”の名前は登録され、1985年には伝統的なカヌレを保存するために同業組合が組織されました。

canneléとは溝を指します。12の溝のある銅の型で焼き、型には蜜ろうを塗ります。蜜ろうを塗ることによってお菓子が型から簡単に外れるばかりでなく、お菓子にカリカリした食感を与えます。黒っぽく焦げたような、キャラメリゼされたカリカリした表面の中に、しっとりとした弾力のある生地が隠されています。この意表をついたコントラストがカヌレの特徴です。

アキテーヌ地方には800のカヌレの製造業者がいて、そのうちジロンドだけで600を占めているということです。

参考資料:http://www.great-france.com/magazine/gastronomie/cannele.htm
http://www.jedecouvrelafrance.com/f-3449.gironde-cannele.html

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