ベルギーの郷土菓子 21 最終回
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知っていますか? 製菓原材料
連載エッセー
宮崎真紀

クープ・デュ・モンド2007年 ベルギー代表決定
2005年6月、代表3人とコーチが決定しました。彼らの横顔をお伝えします。

チョコレートのピエスモンテ担当
ポル・デスケパー(Pol Deschepper)44歳
 高校卒業後ブルージュの「Ter Groene Poorte」で製菓一般を学び、4年間はパティシエとして働きその後独立したというデスケパー氏。「ものを作るこの職業が面白かったので、自分の店を持っていた10年間は働き詰めで、一日に数時間しか寝ないという日々でした。ところがある時、人生は一生懸命働くことも大事だが、子供との時間や家族の絆など金銭で買えない大切なものを失いかけていると気がつき、店をたたみました。その後一年間はそれまでの分を取り戻すかのように眠り、家族や趣味の乗馬に時間を費やしました。古巣である製菓学校から声がかかったのを契機に教壇に立つようになり既に8年の歳月が流れました」。自分の牧場に3頭もの馬を飼う彼は「生徒も馬も扱い方は同じで、良い結果を出すためには忍耐強く接しなければなりません。時間はかかりますがやり甲斐があります」という。その穏やかな話し方や優しそうな眼差しから、きっと頼りがいのある素晴らしい先生に違いないとの印象を受けた。授業で忙しくコンクールへの参加はほとんどないそうだ。しかし、今年の4月ブラッセルで行われた「Belgian Chocolate Master 2005」で国内優勝。10月パリで行われる同世界チャンピオン大会への出場権を手にした。結果は、イタリア、日本を押さえての優勝。世界チョコレート・マスターのタイトルを獲得した。

飴のピエスモンテ担当
ドミニック・ヴァンデールミューレン(Dominique Vandermeulen)43歳
 砂糖の原料であるサトウダイコンの産地として知られるフランドル地方のティーネン。ここにヴァンデールミューレン氏のアイスクリーム屋がある。商店街にある彼の店は、外見も内装も何の変哲がなく、ここがベルギー代表の店なのかと少し拍子抜けした。が、途切れることのない客足、店に飾ってあるたくさんの優勝カップなどを見て納得。高校を優秀な成績で卒業後、軍隊の飛行機整備工となった。そして仕事を続けながら23歳から夜間の料理学校に通い製菓一般について学んだ。その折、手先の器用さを認められ学校の先生に飴細工製作に進むよう強く勧められたのが、この道に進むきっかけだそうだ。数年来いくつものコンクールで好成績を収めているが、2003年、クープ・ドゥ・フランスにおける、上位常連のフランスや日本を差し置く優勝は、彼にはもとよりベルギーにとってもその名を世界に知らしめる快挙であった。「コンクールに出るのは勉強になります。特に優勝できなかった時は、自分の欠点や他の人のどこが自分より優れているかを知る良い機会です。私はコンクールに出場するからには優勝あるのみと思っています。2位も最下位も同じように敗者です」

氷彫刻担当
ティエリー・ウェイナント(Thierry Wynant)32歳
 ブラッセルにある製菓専門学校での最終年の一年間をパティスリー/ブランジェの「ド・バール」で見習いとして働き、そのまま同パティスリーに就職、現在はアトリエ主任として働いている生粋のド・バールっ子である。ド・バール氏は95年のクープ・デュ・モンドで氷彫刻、アントレメを担当、ベルギーに優勝をもたらしたチームの一人である。その師匠のもとで徹底的にテクニックやノウハウを学んだ彼は「芸術家気質のオーナーは、とても厳しかったのでその下で働くのは大変なときもありました。
でも、パティシエになりたいとの信念があったので辛いとは感じませんでした。そのお陰で今の自分があるのです。氷彫刻は基本的なことを学校で習っただけなので、未知の分野への挑戦は緊張もしますが新しいことを学ぶという喜びもあります」と闘志を燃やしている。園芸家の両親の影響もあり草花や造園、動物や鳥など自然に関するものに興味があり、旅行も見知らぬ遠い外国に行くのが常で、その国々で出会った人たち、香辛料、風景などが新しい創作のアイデアの源だそうだ。

チームのコーチ
エルマン・ヴァンデンデール(Herman Van Dender)43歳
 ブラッセルのルーバン通りは庶民的な商店街が続く交通量の激しい道として知られている。この道路沿いに掃き溜めに鶴のごとく洒落たパティスリーがある。これが彼の店「ヴァンデンデール」だ。フランス、アラスカ、シカゴ、冬期オリンピックの長野やソルトレイク・シティなどでの金賞や上位入賞という華々しい経歴が物語るように、氷彫刻で彼の右に出る者はベルギーにいない。しかし、氷彫刻のみならずパティシエ、ショコラティエとしても、ベルギー国内での幾つもの賞、95年、99年、2003年のクープ・デュ・モンドへのベルギー代表としての参加、また近年ではベルギーのローラン殿下御成婚のウエディングケーキやフィリップ殿下の次男誕生のケーキ製作と、その活躍ぶりは留まるところを知らない。その彼にコーチとしての心構えを聞いてみた。
「優秀な人材が集まり満足しています。このコンクールはチームワークが勝負です。既に何回かミーティングをした印象では、その点でも大丈夫だと確信しました。前回の屈辱があるので全員がやる気を見せています。テーマは決りましたが、各自がまだ模索の段階です。自分の役目は、クープ・デュ・モンド出場の経験を生かしたアドバイスと全員が各々の力を全て出せるような黒子になることです」